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診断・支援拠点
高次脳機能障害は「どこに相談すればよいか分からない」障害の代表格である。国の支援普及事業により各都道府県に支援拠点機関が置かれており、診断できる医療機関の情報も含めて、迷ったらまず拠点機関につなぐのが実務の基本線である。あわせて、診断に至る典型ルートと「診断がつかないまま困っている人」の拾い上げを整理する。
高次脳機能障害支援普及事業
- 国の事業として、各都道府県に支援拠点機関(リハビリテーションセンター・大学病院・精神保健福祉センター等に設置)を置き、支援コーディネーターを配置する体制が整備されている。
- 拠点機関・支援コーディネーターの主な機能は次のとおり。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| 専門的相談支援 | 本人・家族・支援機関からの相談。評価やプログラムを持つ機関もある |
| 関係機関との連携・調整 | 医療—福祉—就労—行政のネットワークづくり、個別ケースの調整 |
| 情報提供 | 診断・評価が可能な医療機関、家族会・当事者会、地域の社会資源の情報 |
| 研修・普及啓発 | 支援者向け研修、地域への啓発 |
- 相談支援事業所にとって拠点機関は、①診断先を探すとき、②評価情報がほしいとき、③対応に行き詰まったとき(特に社会的行動障害)、④家族会等の資源情報がほしいときの相談先・後方支援である。地域の拠点機関・連絡先は地域情報に整理する。
診断に至る典型ルート
発症・受傷(救急医療)
→ 急性期治療
→ 回復期リハビリテーション病院(ここで評価・診断されることが多い)
→ 退院・自宅復帰
→ 生活期(在宅・復職・復学)で認知障害が顕在化
→ 外来・支援拠点機関・障害福祉へ- 順調なルートでは回復期リハの段階で神経心理学的評価が行われ、診断と説明を受けて退院する。しかし実際には、退院時点では問題が見えず、生活・仕事に戻ってから初めて顕在化するケースが多い。入院中は構造化された環境(やることが決まっている・スタッフが管理する)のため、症状が表面化しにくいからである。
- 身体の回復が良好で早期退院した人、救急でそのまま帰宅した軽症頭部外傷の人は、リハにも評価にもつながらないまま地域に戻っている可能性がある。
診断がつかないまま生活困難が続くケースの拾い上げ
次のようなサインを持つ相談は、背景に未診断の高次脳機能障害がある可能性を検討する。
| サイン | 確認すること |
|---|---|
| 「事故・脳卒中のあとから人が変わった」という家族の訴え | 発症・受傷の時期と、変化が始まった時期の対応関係 |
| 退院後に復職したが続かない・転職を繰り返す | 離職理由の具体的エピソード(ミス・対人トラブル・疲労) |
| 金銭管理・約束・服薬の失敗が急に増えた | いつからか。頭部外傷・脳血管疾患・心肺停止等の既往 |
| 精神科で治療中だが経過が典型的でない | 器質的原因(受傷歴)の有無が評価されているか |
- 拾い上げたら、①発症・受傷の事実と医療記録の所在を整理し、②支援拠点機関に「診断・評価が可能な医療機関」を照会し、③受診につなぐ、が基本の流れである。過去の受診先が分かれば、当時の診療情報が診断の重要な材料になる(定義の「原因の事実確認」を参照)。
- 本人が受診に乗らない場合は、「見えない障害」であることで述べた病識低下の問題として、家族支援と入口づくりを先行させる。
迷ったら拠点機関に「相談の相談」をする
「このケースは高次脳機能障害かもしれないが確信がない」という段階で、支援コーディネーターに匿名事例として相談してよい。診断の見立て・適切な医療機関・評価の段取りについて助言が得られ、事業所として抱え込まずに済む。
相談支援での活用
- 事業所として、地域の支援拠点機関・回復期リハ病院・診断可能な医療機関との連携ルートを平時から作っておく。ケースが来てから探すのでは遅い。
- 医療から福祉への移行期(退院前カンファレンス等)に相談支援が入れると、生活期での顕在化を見越した計画が組める。病院の医療ソーシャルワーカー・地域連携室との関係づくりが入口になる。
- 未診断ケースの受診勧奨は、「診断を受けること」自体を目的にせず、**「困りごとの原因が分かれば対策が立てられる」**という本人メリットの形で提案する。
相談支援専門員の視点
- 「診断がないから対象外」と入口で断らない。診断があれば障害福祉サービスの対象になりうる障害であり(手帳との関係参照)、診断に至る道筋をつくることまで含めて相談支援の仕事である。
- 発症・受傷から時間が経ったケースでは、本人・家族も「事故と今の困りごと」を結びつけて考えていないことがある。生活歴の聞き取りで既往(頭部外傷・脳卒中・心肺停止・脳炎)を意識的に確認する習慣を持つ。
- 拠点機関は都道府県単位のため、日常の支援は地元の資源で組むことになる。拠点機関には「後方支援・情報源」という役割を期待し、日常支援のチームは地域で作る、という役割分担で考える。
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体制は都道府県ごとに異なる
支援拠点機関の設置場所・体制・提供機能は都道府県により異なる。名古屋市・愛知県の具体的な窓口は地域情報を参照し、最新の自治体資料で確認すること。