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地域移行支援

障害者総合支援法に基づく地域相談支援(地域相談支援給付費)のひとつ。施設・病院等から地域生活へ移行する準備段階を集中的に支援する。実施主体は指定一般相談支援事業所

基本情報

項目内容
根拠障害者総合支援法(地域相談支援給付費)
実施事業所指定一般相談支援事業所(都道府県・指定都市・中核市が指定)
対象障害者支援施設等の入所者、精神科病院の入院患者、保護施設・矯正施設等の入所者(いずれも18歳以上)
障害支援区分不要
標準利用期間6か月以内(必要と認められれば更新可)
利用者負担なし(無料)

サービス内容

  • 住居の確保に関する支援(物件探し、保証人・契約の調整、グループホーム見学など)。
  • 地域生活の準備のための外出への同行支援(役所手続き、買い物、公共交通機関の利用練習など)。
  • 障害福祉サービスの体験利用の調整・同行(生活介護・就労系など日中活動の体験)。
  • 体験宿泊の調整・支援(一人暮らしやグループホームを想定した宿泊体験)。
  • 関係機関との連絡調整(病院・施設、受け入れ先事業所、行政、家族)。

体験利用・体験宿泊は「退院・退所してから考える」のではなく、入院・入所中に地域の暮らしを試せるのがこのサービスの核。本人の不安の軽減と、受け入れ側のアセスメントを兼ねる。

対象者・利用要件の詳細

類型対象
施設入所者障害者支援施設、のぞみの園、児童福祉施設(18歳以上入所者)等の入所者
精神科病院入院者入院期間1年以上が目安だが、1年未満でも措置入院者や地域移行に支援を要する者は対象になり得る
その他保護施設(救護施設・更生施設)、矯正施設(刑務所・少年院等)・更生保護施設等の入所者
  • 支給決定は市町村が行う(事業所指定は都道府県等だが、給付決定は居住地等の市町村)。
  • 利用には計画相談支援のサービス等利用計画が併走する。指定特定相談支援事業所と指定一般相談支援事業所の両方の指定を持つ法人も多いが、別事業所が担う場合は役割分担の整理が必要。
  • 矯正施設からの移行は、地域生活定着支援センター(司法福祉の機関)との連携・すみ分けが実務上のポイント。

人員・運営基準の要点

  • 指定一般相談支援事業所には相談支援専門員の配置が必要(地域移行支援・地域定着支援に従事)。
  • 対象者ごとに地域移行支援計画を作成する。計画作成にあたっては本人との対面(施設・病院への訪問)と、施設・病院の担当者を交えた会議での意見聴取を行う。
  • おおむね週1回以上など、継続的な対面支援の頻度が求められる(頻度の細部は基準・自治体運用を確認)。

報酬構造

基本報酬の決まり方

  • 基本報酬(地域移行支援サービス費)は月額で、利用月ごとに算定する。
  • 基本報酬には複数の区分があり、地域移行の実績(前年度の移行者数等)や専従職員の配置などの体制に応じて高い区分が算定できる構造。実績のある事業所を評価する体系になっている(2024年改定で単位数引き上げ)。

令和6年度報酬改定時点の基本報酬は以下のとおり。円換算は地域区分により1単位=10円〜11.2円程度(相談支援の報酬・加算参照)。

区分単位数
地域移行支援サービス費(Ⅰ)3,613単位/月
地域移行支援サービス費(Ⅱ)3,157単位/月
地域移行支援サービス費(Ⅲ)2,422単位/月

主な加算

加算概要・主な要件単位数
初回加算利用開始月のみ算定(インテーク・関係構築の手間の評価)500単位/月
退院・退所月加算実際に退院・退所する月に算定。精神科病院の入院期間3か月以上1年未満での退院の場合は500単位を上乗せ2,700単位/月
集中支援加算利用者との対面による支援を月6日以上行った場合。退院・退所月加算を算定する月は算定不可500単位/月
障害福祉サービスの体験利用加算日中活動系サービス等の体験利用を支援した日。(Ⅰ)は体験利用開始日から5日以内、(Ⅱ)は6日以上15日以内。地域生活支援拠点等の場合は50単位上乗せ(Ⅰ) 500単位/日、(Ⅱ) 250単位/日
体験宿泊加算体験宿泊を支援した日((Ⅱ)は夜間の見守り等の支援体制あり)。(Ⅰ)(Ⅱ)合計で15日が限度。地域生活支援拠点等の場合は50単位上乗せ(Ⅰ) 300単位/日、(Ⅱ) 700単位/日
ピアサポート体制加算研修を修了したピアサポーターを配置し、その旨を公表している場合100単位/月
居住支援連携体制加算居住支援法人・居住支援協議会との連携体制を構築し、月1回以上情報連携の場を設けている場合(2024年改定で新設)35単位/月
地域居住支援体制強化推進加算居住支援法人等と連携し、住宅の確保・居住支援に係る課題を協議の場等へ報告した場合(月1回限度。2024年改定で新設)500単位/回
特別地域加算中山間地域等に居住する者への支援所定単位数の15/100を加算

主な減算・注意点

  • 地域移行支援計画の未作成・手続き不備は運営基準減算の対象。
  • 身体拘束・虐待防止・BCP・情報公表に関する共通減算の枠組みは相談支援系にも適用される(相談支援の報酬・加算の減算の項を参照)。
  • 加算は体制届の事前提出が前提のものが多い。

相談支援専門員の視点

精神科病院との連携実務

  • 入口は病院の精神保健福祉士(PSW)・退院後生活環境相談員経由が多い。医療保護入院者には退院後生活環境相談員が選任され、地域援助事業者(=一般相談支援事業所等)の紹介の仕組みがあるため、日頃から病院に事業所の存在を知らせておくことが利用につながる。
  • 退院支援委員会やケア会議に参加し、入院中から本人・主治医・病棟と関係を作る。外出・外泊の許可は医療側の判断のため、体験利用・体験宿泊の日程は病院と必ず調整する。
  • 退院直後は再入院リスクが高い。退院前から地域定着支援や自立生活援助・訪問看護など退院後の支えをセットで設計する。

計画作成・運用のポイント

  • 6か月で完結しないケースは珍しくない。更新は可能だが、更新の要否判断は市町村のため、モニタリングで進捗と残課題を具体的に示す。
  • 住居確保は時間がかかる最大のボトルネック。早期に保証人・緊急連絡先・家賃債務保証の課題を洗い出す。
  • 施設入所からの移行は、施設側の意向・家族の不安との調整が中心になる。体験宿泊の積み重ねで本人・家族双方の安心材料を作る。
  • 支給決定・計画案提出の流れは計画相談の流れ支給決定・障害支援区分を参照。

関連ページ

単位数の基準時点

本ページの単位数は令和6年度報酬改定(2024年4月・6月施行)時点。次期改定(2027年度見込み)で変わるため、請求実務では必ず最新の報酬告示・WAM NETを確認すること。