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行動援護
障害者総合支援法の介護給付。知的障害・精神障害(自閉スペクトラム症等)により行動上著しい困難があり常時介護を要する人に対し、行動時に生じ得る危険を回避するための援護や外出時の移動支援を行う、行動障害支援に特化した専門性の高いサービス。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠 | 障害者総合支援法(介護給付) |
| 対象 | 知的障害・精神障害により行動上著しい困難があり、常時介護を要する障害者・障害児 |
| 障害支援区分 | 区分3以上かつ行動関連項目等の合計点数10点以上(障害児は相当する状態) |
| 標準利用期間 | なし |
| 利用者負担 | 応能負担(上限月額あり)→ 利用者負担 |
サービス内容
- 予防的対応: 外出前の情報提供・スケジュール提示等で見通しを持たせ、不安や混乱を防ぐ。
- 制御的対応: パニック・自傷・強いこだわり等の行動障害が起きたときの適切な対応、危険回避。
- 身体介護的対応: 外出時の排せつ・食事等の介助。
- 外出時の支援が中心だが、外出の前後を通じた一連の支援として提供される。
- 構造化・視覚支援など、行動障害の特性理解に基づく支援技術が前提となる点で、単なる移動支援とは性格が異なる。
対象者・利用要件の詳細
- 区分3以上かつ認定調査の行動関連項目等(12項目)の合計点数が10点以上。
- 障害児は区分認定不要。調査により行動関連項目等で相当する状態と認められること。
- 重度訪問介護(行動障害類型)の対象と重なる部分があるが、重度訪問介護は区分4以上・長時間包括支援、行動援護は区分3以上・外出中心の専門支援という違いがある。
人員・運営基準の要点
- サービス提供責任者を配置し、行動援護計画を作成する。
- 従業者要件: 行動援護従業者養成研修または強度行動障害支援者養成研修(基礎研修・実践研修)の修了に加え、知的障害・精神障害者への直接支援の実務経験が求められる。サービス提供責任者はより長い実務経験が必要。
- 支援計画シート・支援手順書の作成が義務。アセスメントに基づき本人の特性・支援手順を文書化し、従業者間で共有する。未作成は減算対象。
報酬構造
基本報酬の決まり方
- 所要時間区分別の単価(30分刻み等)。長時間になるほど時間あたりの単価は逓減する。
- 早朝・夜間・深夜の割増、2人派遣(要件を満たす場合)の取り扱いは他の訪問系と同様。
- 2024年改定で短時間(1時間30分まで)の単価が引き上げられ、専門性の評価が強化された。
基本報酬の単位数(令和6年度改定時点・抜粋)
| 所要時間 | 単位数 |
|---|---|
| 30分未満 | 288単位/回 |
| 30分以上1時間未満 | 437単位/回 |
| 1時間以上1時間30分未満 | 619単位/回 |
| 1時間30分以上2時間未満 | 762単位/回 |
| 2時間以上2時間30分未満 | 905単位/回 |
| 3時間以上3時間30分未満 | 1,191単位/回 |
| 以降30分刻みで逓増 | 7時間30分以上 2,485単位/回(上限) |
- 全時間区分・早朝夜間深夜の割増率などは報酬告示・WAM NETで確認。円換算は地域区分により1単位=10円〜11.2円程度。
主な加算
| 加算 | 概要・主な要件 | 単位数 |
|---|---|---|
| 特定事業所加算 | 常勤サ責配置・研修体制・重度者受け入れ等の総合評価。複数の区分がある | 所定単位数の+20%(Ⅰ)・+10%(Ⅱ/Ⅲ)・+5%(Ⅳ) |
| 初回加算 | 新規利用者への初回支援時に、サ責が自ら支援するか同行した場合 | 200単位/月 |
| 緊急時対応加算 | 計画外の支援を利用者等の要請から短時間のうちに緊急提供した場合 | 100単位/回(月2回まで) |
| 喀痰吸引等支援体制加算 | 認定特定行為業務従事者による喀痰吸引等の支援体制の評価 | 100単位/日 |
| 行動障害支援指導連携加算 | 重度訪問介護等への移行時に、支援手順書等を用いて連携先事業所を指導・連携した場合 | 273単位/回(移行月に1回) |
| 利用者負担上限額管理加算 | 負担上限月額の管理事務を行った場合 | 150単位/回(月1回) |
| 特別地域加算 | 中山間地域等でのサービス提供の評価 | 所定単位数の+15% |
| 福祉・介護職員等処遇改善加算 | 全サービス共通の処遇改善評価(2024年6月に一本化・4段階) | 所定単位数の+24.8%〜+38.2%(Ⅳ〜Ⅰ) |
主な減算・注意点
- 支援計画シート等未作成減算: 支援計画シート・支援手順書を作成していない場合(所定単位数の95%)。
- 同一建物等減算。
- 全サービス共通: 身体拘束廃止未実施減算、虐待防止措置未実施減算、業務継続計画(BCP)未策定減算、情報公表未報告減算。
相談支援専門員の視点
- 対象要件の行動関連項目の点数は認定調査の結果を必ず確認する。点数が要件に届くかどうかでサービスの選択肢が大きく変わるため、認定調査前に日常の行動障害のエピソード(頻度・強度・場面)を家族から具体的に聞き取り、調査で伝わるよう準備する。
- 事業所数が少なく、特に児童期のニーズに対して供給が不足しがち。地域の実施事業所と従業者体制(強度行動障害の支援経験)を日頃から把握しておく。
- 行動援護のアセスメント情報(支援手順書)は他サービスにも価値がある。重度訪問介護の行動障害支援連携加算のように、行動援護事業所の知見を連携先に引き継ぐ仕組みも活用したい。
- 要件を満たさない(区分3未満・10点未満)場合の外出支援は、地域生活支援事業の移動支援や同行援護(視覚障害の場合)を検討 → 自治体別運用。
- 学齢期は放課後等デイサービスとの併用が多い → 障害児支援。日中活動(生活介護等)や短期入所と組み合わせ、家族のレスパイトを含めた支援体制を設計する。
支援計画シート・支援手順書とは
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 支援計画シート | 本人の障害特性・行動障害の背景(感覚特性、こだわり、コミュニケーション手段)、支援目標を整理したアセスメント文書 |
| 支援手順書(兼記録用紙) | 場面ごとの具体的な支援手順(声かけの方法、提示する視覚支援、パニック時の対応手順等)を定め、実施記録と一体化した文書 |
- どちらも「誰が支援しても同じ関わりができる」ことを目的とした文書で、担当ヘルパー交代時の支援の質の維持に直結する。
- 相談支援専門員にとっても一級のアセスメント資料。モニタリング時に共有を依頼し、サービス等利用計画・他事業所への情報提供に活かす → モニタリング。
重度訪問介護との使い分け
区分4以上・行動関連項目10点以上の人は行動援護と重度訪問介護(行動障害類型)の両方の対象になり得る。外出時の集中的・専門的支援が必要なら行動援護、居宅を含む長時間・包括的な見守りが必要なら重度訪問介護が基本線。行動援護で支援手順を確立してから重度訪問介護に引き継ぐ(行動障害支援連携加算の枠組み)という段階的な設計も選択肢になる。
単位数の基準時点
本ページの単位数は令和6年度報酬改定(2024年4月・6月施行)時点。次期改定(2027年度見込み)で変わるため、請求実務では必ず最新の報酬告示・WAM NETを確認すること。