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音声・言語・そしゃく機能障害

「声を出す」「ことばを発音する」「かんで飲み込む」機能の障害を扱う分類である。人数は多くないが、コミュニケーション食事という生活の根幹に関わる。とりわけ嚥下障害の誤嚥リスクは生命に直結するため、関係者間の情報共有が支援の生命線になる。

分類の全体像

障害内容主な原因の例
音声機能障害声そのものが出ない・出しにくい喉頭摘出(喉頭がん等)、声帯の障害
言語機能障害ことばを話す・操作する機能の障害構音障害、失語症
そしゃく機能障害かむ・飲み込む機能の障害神経・筋疾患、口腔・咽頭の手術後、脳血管障害後遺症

喉頭摘出と代用音声

  • 喉頭がん等で喉頭を摘出すると声帯を失い、発声できなくなる。同時に気管と食道が分離され、首の永久気管孔で呼吸する(入浴時の水の侵入に注意が要る等、生活上の管理がある)。
  • 声を補う代用音声には複数の方法がある。
方法概要
食道発声空気を食道に取り込み、げっぷの要領で振動させて発声する。器具不要だが習得に訓練が要る
電気式人工喉頭首に機器を当てて振動を声の代わりにする。習得は比較的早いが機械的な音声になる
シャント発声手術で気管と食道の間に作った通路(ボイスプロステーシス)を使う発声
  • 電気式人工喉頭は日常生活用具の給付対象になっている自治体が多い。発声訓練は患者会(喉頭摘出者団体)が担っている地域もある。
  • 代用音声は聞き取りにくいことがあるが、聞き返すことを遠慮しないほうが本人の意図を尊重することになる。分かったふりが最も避けたい対応である。

構音障害

  • 発音に関わる器官(唇・舌・声帯等)の運動の障害により、ことばが不明瞭になる。脳性まひ・脳血管障害・神経筋疾患などに伴う。
  • 重要なのは、ことばの理解・思考は保たれていることである。「発音が不明瞭=理解も難しい」と誤解して子ども扱い・敬語の省略をするのは、本人の尊厳を損なう典型的な誤りである。
  • 聞き取りの工夫: 静かな環境、時間をかける、聞き取れた部分を復唱して確認する、はい/いいえで答えられる形に整理する、五十音表・文字盤・筆談・意思伝達装置等の補助代替コミュニケーション(AAC) を本人のやり方に合わせて使う。

失語症との区別

構音障害失語症
障害の水準発音の運動の障害ことばを操る機能(話す・聞く・読む・書く)の障害
理解保たれる聞いて理解することにも困難が及ぶことが多い
書字手が動けば書ける書くことも障害される
  • 失語症は脳損傷による高次脳機能の障害であり、支援の考え方が異なる。詳細は高次脳機能障害の理解および主な症状と生活場面での現れ方を参照。
  • 実務上は「筆談で代替できるか」が分かれ目の一つになる。構音障害は筆談が有効だが、失語症では筆談も難しいことが多い。

そしゃく・嚥下機能障害と誤嚥リスク

  • 飲み込みの障害(嚥下障害)では、食べ物・飲み物が気管に入る誤嚥が起こりやすく、誤嚥性肺炎・窒息という生命に関わるリスクがある。むせない誤嚥(不顕性誤嚥)もあるため「むせていないから大丈夫」とは言えない。
  • 対応の基本は医療職(医師・歯科・言語聴覚士等)の評価に基づく食形態の調整(きざみ・とろみ・ペースト等)、姿勢の調整、食事介助の方法、口腔ケアである。
  • 食形態の指示は関わる全事業所で同一に守られなければ意味がない。ヘルパー・通所先・短期入所先・家族の間で、とろみの濃度や禁止食品などの情報を確実に共有する。誤嚥リスクの情報共有は生命に関わる(親ページの記載のとおり)。

食形態の情報は「申し送りの最優先事項」

サービス等利用計画・サービス担当者会議で、嚥下に関する医療職の指示(食形態・水分のとろみ・姿勢・緊急時対応)を明記し、新しい事業所が加わるたびに必ず引き継ぐ。「聞いていなかった」が事故に直結する領域である。

コミュニケーション支援と食の配慮(実務)

  • 面談: 時間を通常より長めに設定する。本人の使う手段(代用音声・文字盤・筆談・意思伝達装置)を事前に確認し、急かさない。電話が使えない場合の連絡手段(FAX・メール・アプリ)を決めておく。
  • 意思確認: 発話が難しくても意思決定能力があることを前提に、本人に直接確認する(意思決定支援)。同席者が代弁しすぎる場面では、本人へ問いを返す。
  • 食事の場面: 通所先・短期入所先の選定では食形態への対応力(調理・介助・緊急時)を確認事項に含める。外食・行事等の楽しみをリスクを理由に一律に奪わない工夫(事前の相談・持ち込み調整)も支援である。
  • 意思伝達装置等は補装具・日常生活用具の制度を確認する。

相談支援専門員の視点

  • この分類の障害は単独ではなく他の障害に伴って現れることが多い(脳血管障害・神経筋疾患・脳性まひ)。「話しにくさ」「食べにくさ」を主障害の陰で見落とさないよう、アセスメント項目として意識的に確認する。
  • 「伝わらない体験」の積み重ねは、あきらめ・引きこもりにつながる。時間がかかっても本人の言葉を待つ面接姿勢そのものが、本人の発信意欲を支える。
  • 嚥下機能は加齢・病状進行で低下する。モニタリングでむせ・食事時間の延長・体重減少・発熱の繰り返しといったサインを確認し、早めに医療の再評価につなぐ。

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