ダークモード
内部障害
内臓等の機能障害の総称で、身体障害者福祉法では7種類が定められている。共通するのは外見から分からないことであり、疲れやすさ・通院・食事や活動の制限といった生活上の制約が周囲に理解されにくい。「見た目は元気」と本人の実感のギャップを埋めることが、支援の中心課題になる。
7種類の概要と生活上の制約
| 機能障害 | 概要 | 生活上の制約の例 |
|---|---|---|
| 心臓 | 心不全・不整脈等。ペースメーカー・人工弁の使用者を含む | 運動・労作の制限、疲労しやすさ、機器の管理(電磁波への注意等) |
| 腎臓 | 腎不全。人工透析を受ける人が多い | 週複数回の通院透析が生活の軸になる。水分・食事(塩分・カリウム等)の管理、透析後の倦怠感 |
| 呼吸器 | 慢性呼吸不全等。在宅酸素療法(HOT) 使用者を含む | 息切れによる動作の制限、外出時の酸素ボンベ、感染予防、災害時の電源・酸素の確保 |
| ぼうこう・直腸 | ストーマ(人工肛門・人工ぼうこう) 造設、排尿・排便機能の障害 | 装具の交換・管理、外出先のオストメイト対応トイレ、災害時の装具の備蓄 |
| 小腸 | 小腸の大量切除・機能障害 | 中心静脈栄養・経管栄養等の栄養管理、食事制限、感染管理 |
| HIVによる免疫 | HIV感染による免疫機能の障害 | 服薬の継続が生命線。プライバシー保護の徹底、偏見・差別への配慮 |
| 肝臓 | 肝硬変等の肝機能障害。移植後を含む | 強い倦怠感・体調の変動、食事管理、感染への注意 |
- 各障害とも、服薬・通院の継続と感染・増悪の予防が生活管理の共通軸である。医療との連携なしに支援は成り立たない。
「外見からわからない障害」としての共通課題
- 易疲労: 「少し動くと消耗する」「回復に時間がかかる」が最も共通する困りごとである。フルタイム勤務・連日の活動が難しくても、外見上は分からない。
- 周囲の無理解: 「元気そうなのに」「怠けている」という誤解、優先席・障害者用駐車区画の利用への心無い視線。ヘルプマークは援助や配慮を必要としていることを知らせる意思表示の手段である(親ページの記載のとおり)。
- 開示の問題: 職場・学校・地域にどこまで伝えるかは本人が決めることであり、支援者が無断で開示しない。開示の範囲は関係機関との情報共有の場面でも必ず本人と確認する。
- 災害への脆弱性: 透析・在宅酸素・ストーマ装具・服薬は災害時に途絶リスクがある。個別の備えは災害時の備えを参照。
透析と就労・生活の両立
- 透析は週複数回・1回数時間を要し、曜日・時間が生活の枠組みを決める。就労との両立には、夜間透析・通院時間への職場の理解(勤務時間の調整等の合理的配慮)が鍵になる。
- 透析後の倦怠感で「透析日は使い物にならない」という人も多い。活動・サービスの曜日設定は透析スケジュールを軸に組む。
- 通院手段の確保が課題になりやすい(親ページの記載のとおり)。家族送迎に依存している場合は、送迎が途切れた場合の代替(通院支援の資源)を平時から検討しておく。移動支援等の適用は自治体運用によるため地域情報で確認する。
ストーマの管理と制度
- ストーマ装具(パウチ)は定期的な交換・購入が続く消耗品であり、日常生活用具給付等事業の給付対象である(補装具・日常生活用具)。申請窓口・基準は市町村による。
- 装具の交換は本人・家族が行えることが多いが、手指の障害や認知面の低下があると管理が破綻しやすい。皮膚トラブル(かぶれ・漏れ)は QOL を大きく下げるため、皮膚・排泄ケアの専門看護師(WOC)や訪問看護につなぐ。
- 外出の制約(オストメイト対応トイレの有無)・入浴(温泉・通所先での入浴)・災害時の装具確保が生活課題の定番である。
感染症に対する偏見への配慮(HIV・肝炎)
- HIVは服薬治療により慢性疾患として管理できる時代になっており、適切な治療で他者への感染リスクは事実上抑えられる。しかし社会の偏見は根強く、情報の漏えいが本人の生活基盤(仕事・住まい・人間関係)を壊しうる。
- 実務では: 病名の記載・共有は必要最小限にし、本人の同意の範囲を明確にする。サービス事業所への情報提供時も「支援に必要な情報は何か」を吟味する(病名でなく留意事項の形で足りる場合がある)。
- 事業所側の過剰な忌避(サービス拒否・過剰な防護)は差別に当たりうる。標準予防策(スタンダード・プリコーション)で足りることを、相談支援専門員自身が正しく理解しておく。
病名・感染症情報の取り扱い
HIV等の情報は特に配慮を要する個人情報である。担当者会議・計画への記載・事業所間の共有のたびに、本人の同意の範囲を確認する。「支援のため」であっても本人の了解なく病名を広げない。
相談支援での活用
- アセスメントでは**「1日のエネルギー配分」**を聞く: 何をすると消耗するか、休息にどれくらいかかるか、週の中の通院日。これが利用日数・時間帯設定の根拠になる。
- 日中活動(生活介護・就労系サービス)の選定では、通院日との両立・活動強度・医療対応力を確認する。就労希望者は就労移行支援・就労継続支援B型等で体調に合わせた働き方を検討する。
- 医療機器(在宅酸素等)・医療的管理を伴う場合、訪問看護・主治医との連絡体制を計画に位置づける。医療的ケアの視点は医療的ケア児・者も参考になる。
相談支援専門員の視点
- 本人自身が「このくらいで疲れたと言えない」と制約を過小に語ることがある。頑張っている状態を基準にせず、体調が悪い日を含めた生活で必要量を見積もる。
- 体調は変動する。計画は「良い日」に合わせず、変動幅を前提に組み、モニタリングで通院状況・体調の推移(入院の有無・数値の変化を本人の言葉で)を確認する。
- 内部障害は進行・悪化により等級変更や新たな制度利用(透析導入・ストーマ造設等)が生じやすい。医療側の変化を計画に反映するルート(本人・家族経由だけでなく医療機関との連携)を作っておく。