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重度訪問介護

障害者総合支援法の介護給付。重度の肢体不自由者・知的障害者・精神障害者に対し、居宅での介護から外出時の移動支援、見守りまでを総合的・長時間提供する訪問系サービス。

基本情報

項目内容
根拠障害者総合支援法(介護給付)
対象常時介護を要する重度の肢体不自由者、または重度の知的障害・精神障害により行動上著しい困難がある人
障害支援区分区分4以上+下記の状態像要件
標準利用期間なし
利用者負担応能負担(上限月額あり)→ 利用者負担

サービス内容

  • 入浴・排せつ・食事等の身体介護、調理・洗濯等の家事援助、コミュニケーション支援、見守りを含む長時間の総合的支援
  • 外出時の移動中の介護も一体的に提供できる(通勤・営業活動等、通年かつ長期にわたる外出は原則対象外)。
  • 居宅介護のような「行為ごとの積み上げ」ではなく、1日の生活全体を通じた包括的な支援として設計されている点が最大の特徴。24時間支援(複数事業所によるシフト構成)も制度上可能。

対象者・利用要件の詳細

区分4以上で、次のいずれかに該当すること。

  1. 重度肢体不自由者: 二肢以上に麻痺等があり、認定調査項目の歩行・移乗・排尿・排便のいずれも支援が必要と判定されている。
  2. 重度知的・精神障害者: 行動関連項目等の合計点数が10点以上。
  • 障害児は対象外(15歳以上で児童相談所長が認めた場合の特例的な取り扱いはあるが、運用は自治体確認)。
  • 区分6の利用者は入院中も利用可能。本人の状態を熟知したヘルパーが入院先でコミュニケーション支援や体位調整の伝達等を行い、病院職員と連携する。
  • 大学修学支援事業や雇用施策との連携(重度障害者等就労支援特別事業)など、通学・就労場面は別事業での対応となるため自治体に確認する。

人員・運営基準の要点

  • サービス提供責任者を配置し、重度訪問介護計画を作成する。
  • 従業者は重度訪問介護従業者養成研修修了者等。喀痰吸引等(特定行為)を行う場合は認定特定行為業務従事者の登録が必要。
  • 新任従業者が熟練従業者の同行を受けながら支援に入る仕組みが報酬上設けられており、重度者支援の質の担保と人材育成を両立させる趣旨。

報酬構造

基本報酬の決まり方

  • 1日を通じた所要時間区分別の単価。時間刻みで区分が設定され、長時間になるほど1時間あたりの単価が逓減する包括的な構造。
  • 区分6の利用者への支援は基本報酬が割り増しされる。さらに重度障害者等包括支援の対象に相当する最重度者には、より高い割増区分がある。
  • 早朝・夜間・深夜の割増、2人派遣(要件を満たす場合)の取り扱いは居宅介護と同様の考え方。

基本報酬の単位数(令和6年度改定時点・抜粋)

所要時間(1日を通じた合計)単位数
1時間未満186単位
1時間以上1時間30分未満277単位
1時間30分以上2時間未満369単位
2時間以上2時間30分未満461単位
3時間以上3時間30分未満644単位
4時間以上8時間未満821単位+30分ごとに85単位
8時間以上12時間未満1,505単位+30分ごとに85単位
12時間以上16時間未満2,184単位+30分ごとに81単位
16時間以上20時間未満2,834単位+30分ごとに86単位
20時間以上24時間未満3,520単位+30分ごとに80単位
  • 区分6の利用者は+8.5%、**重度障害者等包括支援の対象に相当する最重度者は+15%**の割増。
  • 全時間区分・早朝夜間深夜の割増率などは報酬告示・WAM NETで確認。円換算は地域区分により1単位=10円〜11.2円程度。

主な加算

加算概要・主な要件単位数
移動介護加算外出時の移動中の介護を行った場合に、移動支援の所要時間に応じて算定100単位/日(1時間未満)〜250単位/日(3時間以上)
移動介護緊急時支援加算外出中の急な体調変化等、予定外の緊急対応を行った場合の評価(2024年改定で新設)240単位/日
入院時支援連携加算入院時に病院職員へ本人の支援方法等を引き継ぐ連携の評価(2024年改定で新設)300単位/回(入院前に1回まで)
特定事業所加算常勤サ責配置・研修体制・重度者受け入れ実績等の総合評価。複数の区分がある所定単位数の+20%(Ⅰ)・+10%(Ⅱ/Ⅲ)
緊急時対応加算計画外の支援を利用者等の要請から短時間のうちに緊急提供した場合100単位/回(月2回まで)
喀痰吸引等支援体制加算認定特定行為業務従事者による喀痰吸引等の支援体制の評価100単位/日
行動障害支援連携加算行動援護事業所等と連携してアセスメント・支援計画作成を行い、行動障害のある利用者を受け入れる場合(2024年改定で新設)584単位/回(利用開始から30日間・1回まで)
利用者負担上限額管理加算負担上限月額の管理事務を行った場合150単位/回(月1回)
特別地域加算中山間地域等でのサービス提供の評価所定単位数の+15%
福祉・介護職員等処遇改善加算全サービス共通の処遇改善評価(2024年6月に一本化・4段階)所定単位数の+21.9%〜+34.3%(Ⅳ〜Ⅰ)

主な減算・注意点

  • 同一建物等減算(事業所と同一建物等の利用者への提供)。
  • 全サービス共通: 身体拘束廃止未実施減算、虐待防止措置未実施減算、業務継続計画(BCP)未策定減算、情報公表未報告減算。

相談支援専門員の視点

  • 支給量は月あたりの時間数で大きくなりやすく、自治体の支給決定基準(国庫負担基準を意識した上限運用)との調整が実務の中心になる。長時間・24時間支援が必要な場合は、生活実態と医療的リスクを具体的に示す資料づくりが重要。自治体差が大きい → 自治体別運用
  • 居宅介護からの移行では、「行為の積み上げ」から「生活全体の見守りを含む支援」への発想転換を本人・家族に説明する。細切れ利用は重度訪問介護の趣旨に合わないとされる場合がある。
  • 長時間シフトを組める事業所は限られる。複数事業所の組み合わせ(時間帯分担)を前提に調整することが多い。
  • 区分6の入院中利用は、入院前からの支援関係が前提。入院可能性がある利用者は計画に位置づけと連絡体制を記載しておく。
  • 行動障害が主体のケースでは行動援護による集中的な支援や、行動障害支援連携加算を使った連携を検討。
  • 日中活動(生活介護等)との併用時は、同一時間帯の重複算定はできないためスケジュールを整理する。

支給量交渉の実務メモ

  • 国庫負担基準を超える支給決定は自治体の持ち出しになるため、審査は慎重になりやすい。非定型ケースとして審査会に諮られることも多く、標準処理より時間がかかる前提でスケジュールを組む。
  • 根拠資料として有効なもの: 24時間の生活・介護記録(タイムスタディ)、医師意見書(体位変換・吸引頻度等)、家族の介護状況(就労・健康状態・高齢化)、ヒヤリハット記録。
  • 支給量が不足する場合の不服申立て(審査請求)の前に、まず追加資料による再協議の余地を探るのが実務的。

ヘルパー確保が最大のボトルネック

支給決定が出ても担い手がいなければ絵に描いた餅になる。重度訪問介護は資格取得のハードルが比較的低い(養成研修は短期間)ため、本人が推薦する人材に研修を受けてもらい事業所に登録する「自薦ヘルパー」的な確保策が使われることもある。計画作成と並行して、複数事業所への打診を早期に始めること。

単位数の基準時点

本ページの単位数は令和6年度報酬改定(2024年4月・6月施行)時点。次期改定(2027年度見込み)で変わるため、請求実務では必ず最新の報酬告示・WAM NETを確認すること。

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