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視覚障害

視覚障害は「全く見えない」だけではなく、視力障害(見えにくさ)と視野障害(見える範囲の狭さ・欠け)を含み、見え方は一人ひとり大きく異なる。全盲よりもロービジョン(弱視)の人が多数を占めるため、「どのように見えているか・見えないか」を具体的に把握することが支援の出発点になる。

視力障害と視野障害

区分内容生活での現れ方の例
視力障害矯正しても視力が出ない文字が読めない、人の顔の判別がつかない、細かい作業ができない
視野障害見える範囲が狭い(求心性狭窄)・一部が欠ける(暗点等)視力はあるのに人や物にぶつかる、足元の段差に気づかない、探し物が極端に苦手
  • 両者は合併することも多い。まぶしさ(羞明)、暗い場所で見えない(夜盲)、色の判別の困難など、視力・視野の数値に現れない見えにくさもある。
  • 「見えているように振る舞えるのに読めない・分からない」 状態は周囲に理解されにくく、「不自由なさそう」と誤解されやすい。ここが視覚障害の「見えにくさの見えにくさ」である。

先天性と中途障害

区分特徴支援の力点
先天性・幼少期から点字・白杖等のスキルを教育の中で獲得していることが多い培ったスキル・経験を前提に、生活の広がり(就労・外出・情報)を支援
中途障害(中途失明・進行性疾患)糖尿病網膜症・緑内障・網膜色素変性症等。人生の途中で読み書き・移動・職業の手段を失う喪失への心理的支援と、生活技術の再獲得(歩行訓練・音声機器)の両輪
  • 中途失明は「見えなくなること」だけでなく、仕事・役割・外出・趣味を連鎖的に失う体験である。抑うつ的になる時期があることは自然な経過であり、訓練や制度の話を急がず、気持ちの揺れに伴走する時期が必要になる。
  • 進行性疾患では「まだ見えているが、いずれ見えなくなる」段階の不安が大きい。見えているうちに音声機器等に慣れる準備的な支援が有効なことがあるが、本人の受け入れのペースを尊重する。
  • 中途視覚障害者は点字の習得が難しいことが多く、音声機器の活用が中心になる(親ページの記載のとおり)。

移動の支援

  • 歩行訓練: 白杖歩行・空間認知・ルートの記憶などの訓練。自立訓練(機能訓練)や視覚障害リハビリテーション機関等で、歩行訓練士等の専門職が行う。
  • 同行援護: 外出時の移動の援護に加え、視覚的情報の支援(代筆・代読を含む) が含まれる点が特徴。買い物での商品説明、書類の読み上げなど「見て伝える」支援である。
  • 盲導犬: 補助犬の一種。希望者は訓練施設での共同訓練を経る。盲導犬使用者の受け入れ拒否は障害者差別解消法上の問題となりうる(障害者差別解消法と合理的配慮)。
  • 移動手段は白杖・盲導犬・ガイド(人)の択一ではなく、場面により使い分けるものと理解する。

日常生活の工夫と情報アクセス

  • 音声による代替: スクリーンリーダー(画面読み上げ)、スマートフォンの音声操作、音声時計、音声体重計、録音図書(デイジー)。近年はスマートフォンとAI系アプリが情報アクセスの中心になりつつある。
  • 触覚による代替: 点字、触って分かる印(凸シール)、紙幣・家電の識別マーク。
  • 見えやすさの工夫(ロービジョン): 拡大読書器・ルーペ、白黒反転、照明の調整、太いペン、コントラストの高い配色。
  • 拡大読書器・音声機器等は補装具・日常生活用具の給付対象になるものがある(白杖は補装具)。

ロービジョンケア

  • 残された視機能を最大限活用するための医療・福祉・教育にまたがる支援。眼科のロービジョン外来等で、補助具の選定・見え方に合わせた工夫の提案・制度情報の提供が行われる。
  • 「治療の対象でなくなった=支援の終わり」ではなく、そこからが生活支援の始まりである。眼科からロービジョンケア・福祉制度につながらないまま孤立している人は多く、相談支援が橋渡しできる領域である。

面接・情報提供時の配慮

  • 声かけ: 正面から名乗って話しかける。離席するとき・戻ったときも声にする(気づかれずに立ち去ると、いない相手に話し続けることになる)。
  • 説明: 「あちら」「これ」ではなく、方向・位置・数を具体的に(クロックポジション: 「2時の方向」等)。資料は指させないため、読み上げと構造の説明(「全部で3枚、1枚目が計画案です」)を添える。
  • 誘導: 腕や肩につかまってもらい半歩前を歩く。白杖を持つ手・盲導犬側をふさがない。
  • 書類: 拡大文字・テキストデータ・音声コードなど、本人が使える形式を確認する。署名が必要な場面は代筆のルールを事前に確認しておく。

「どのくらい見えていますか」より「どんな場面で困りますか」

視力の数値を聞いても生活は分からない。「郵便物はどうやって読んでいますか」「初めての場所への外出はどうしていますか」「買い物で困るのはどんなときですか」と場面で聞くと、必要な支援(代読・同行援護・機器)が具体化する。

相談支援専門員の視点

  • 視覚障害は情報障害でもある。制度・サービスの情報が「読めない」ために届いていない前提で、情報提供の方法自体を設計する(電話・音声データ・対面での読み上げ)。
  • 同行援護・歩行訓練・日常生活用具・ロービジョンケアを組み合わせて生活を再建する視点を持つ。単一サービスで完結しない。
  • 文書での同意・署名・金銭管理など、代筆・代読が関わる場面の本人保護(誰がどう確認するか)を関係者で取り決める。必要に応じて日常生活自立支援事業も検討する。
  • 意思疎通支援・点訳音訳等の地域事業は市町村差があるため地域情報を確認する。

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