Skip to content

相談支援専門員の業務とソーシャルワーク

相談支援専門員の仕事を「計画とモニタリング報告を作る人」と捉えるか、「ソーシャルワークの担い手」と捉えるかで、日々の実践の質は大きく変わる。このページでは、基本相談支援と計画相談支援の関係、ケアマネジメントとソーシャルワークの関係を整理し、「手続き屋」にならないための実務の勘所をまとめる。

基本相談支援と計画相談支援の関係

区分内容性格
基本相談支援障害のある人・家族等からの相談に応じ、情報提供・助言、関係機関との連絡調整等を行う給付・契約の枠にとらわれない相談援助。ソーシャルワークの入口そのもの
計画相談支援サービス利用支援(アセスメント→サービス等利用計画案・計画の作成→担当者会議)と継続サービス利用支援(モニタリング)基本相談支援を土台として展開される、給付に位置づく業務

制度上も、計画相談支援は基本相談支援を基盤として行うものと位置づけられている。実務的に重要なのは順序である。先に相談援助関係(基本相談)があり、その上に計画という成果物が載る。関係のないところで様式だけ整えても、本人の意向を反映した計画にはならない。具体的な過程は計画相談の流れ、給付上の位置づけは計画相談支援を参照。

ケアマネジメントとソーシャルワークの関係

計画相談支援の方法論はケアマネジメント(アセスメント→計画→実施の調整→モニタリング→再アセスメントの循環)である。ではケアマネジメントとソーシャルワークはどういう関係か。

観点整理
位置づけケアマネジメントは方法(技法)、ソーシャルワークは基盤(価値・理論・専門職としての枠組み)
関係ケアマネジメントはソーシャルワーク実践の一形態・一手法であり、対立概念ではない
ケアマネジメント単独の限界既存のサービスに人を割り当てる「資源仲介」に痩せやすい。資源がない課題・制度の狭間の課題に無力になりやすい
ソーシャルワークが加えるもの価値と倫理(自己決定・権利擁護)、人と環境の全体をみる理論(基盤となる理論・視点)、環境・地域の側に働きかけるマクロの視点(→ミクロ・メゾ・マクロ実践)

同じ「アセスメント→計画→モニタリング」の手順でも、基盤にソーシャルワークがあるかどうかで中身は変わる。サービスの過不足だけを見るモニタリングと、本人の生活全体・環境との関係・権利の状態まで見るモニタリングの違いである。

養成カリキュラム上の位置づけ

  • 相談支援専門員の養成(初任者研修・現任研修)のカリキュラムは、相談支援専門員をソーシャルワークの担い手として位置づけて設計されている。
  • 研修では、障害者ケアマネジメントの技法とともに、ソーシャルワークの価値(本人中心支援・意思決定支援・権利擁護)、地域を基盤とした支援(協議会・地域づくり)が柱として扱われる。
  • 主任相談支援専門員には、個別支援に加えて人材育成・地域づくりの役割が期待されており、これはメゾ・マクロ実践の担い手としての位置づけである。

「手続き屋」にならないための実務の勘所

落とし穴勘所
様式を埋めることが目的化する様式は関係と思考の結果を書く場所。アセスメントの前に7原則、計画作成の前にグローバル定義を思い出す(→バイステックの7原則)
「希望するサービス」から聞いてしまうサービスの希望ではなく生活の希望(どこで誰とどう暮らしたいか)から聞く。サービスは手段の一つにすぎない
空きのあるサービスに合わせて計画を作る資源がないことを本人の課題にすり替えない。不足は地域課題として記録し協議会ルートへ
モニタリングが「変わりないですか」の確認作業になる例外探し・ストレングスの視点で面接を組み立てる(→解決志向アプローチ)
本人不在で家族・事業所と話が進む契約主体は本人。本人が参加できる会議の工夫(時間・場所・説明方法)自体が意思決定支援である
困難ケースを一人で抱える基幹相談支援センター・スーパービジョン・事業所内検討を使う。組織的判断は倫理綱領の要請でもある(→ソーシャルワーカーの倫理綱領)

「基本相談に戻る」という選択肢を持つ

計画やモニタリングが行き詰まったときは、給付の手順を先に進めるのではなく、基本相談(枠のない相談援助)に立ち戻るのが定石である。「今の計画の話は一度置いて、最近の暮らしの話を聞かせてください」と言えるのは、計画相談の土台が基本相談であることを理解している証拠である。

相談支援専門員の視点

  • 「ソーシャルワークか、書類仕事か」の二者択一ではない。書類(計画・記録)は本人の権利保障と説明責任の道具であり、ソーシャルワークとして書くことができる。本人に見せられる言葉で書かれた計画は、それ自体が意思決定支援の成果物である。
  • 標準担当件数や報酬の仕組みに実務が圧迫される現実はある。だからこそ、限られた面接時間の質を上げる技術(面接技術・コミュニケーション)と、一人で抱えない体制(メゾ)の両方が自分を守る。
  • 新人には「制度に詳しい人」より先に「話を聴ける人」になることを勧めたい。制度知識は調べられるが、援助関係は代替が利かない。

関連ページ