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アセスメント面接の組み立て
アセスメント面接は、個々の技法(傾聴・質問・応答)を一回の面接としてどう構成するかという設計の問題である。行き当たりばったりの面接は情報の抜けと関係の消耗を生む。導入から終結までの構造と、複数回に分ける設計を整理する。制度上の位置づけは計画相談の流れを参照。
面接の三部構造
| 局面 | 内容 | 主な技法 |
|---|---|---|
| 導入 | 自己紹介、目的・所要時間・守秘義務の説明、場を温める雑談 | 非言語(→非言語コミュニケーション)、軽い開かれた質問 |
| 展開 | 主訴の聴き取り→関連情報の収集→深掘り | 傾聴・応答技法・質問技法の往復 |
| 終結 | 要約による整理と確認、次回の見通しの合意、ねぎらい | 要約・閉じられた質問(合意確認) |
- 導入と終結を削らない。時間が足りないとき削られがちだが、導入を欠くと面接全体が硬くなり、終結を欠くと「聴かれっぱなし」の消化不良が残る。
- 終結では「今日話してどうだったか」を一言聞くと、面接自体への本人のフィードバックが得られる。
初回面接で押さえる項目と後回しにする項目
初回面接(インテーク)の目的は、全情報の収集ではなく緊急性の判断・主訴の把握・関係の開始である。
| 区分 | 項目 | 理由 |
|---|---|---|
| 初回で押さえる | 主訴(本人・家族それぞれ)、緊急性(健康・安全・虐待の兆候)、基本情報(連絡先・手帳・受給者証)、現在利用中のサービス・関係機関 | 支援の入口設計と安全確認に必須 |
| 初回は概要のみ | 一日の過ごし方、心身の状況、家族関係、経済状況 | 概観をつかめば足りる。詳細は関係ができてから |
| 後回しにする | 生活歴の詳細、家族の内情、金銭の詳細、過去のつらい体験 | 侵襲性が高い。関係ができる前に聴くと防衛的な回答になり、関係も損なう |
生活歴の聞き方
生活歴(生育歴・教育歴・職歴・サービス利用歴)は支援の手がかりの宝庫だが、最も侵襲性の高い領域でもある。
- 時系列で尋問しない: 「生まれてから順に教えてください」は負担が大きい。現在の話題から自然に過去へ降りる(「その仕事は長かったんですか」→職歴の話へ)。
- 本人が語り始めた過去を逃さない: 雑談の中で語られる昔話は、様式の項目として聞くより豊かな生活歴になる。
- つらい体験は深追いしない: 入所歴・いじめ・家族との断絶などは、本人が語る分だけ受けとめる。事実確認のための深掘りは関係ができてから、目的を添えて行う。
- 語りの意味も情報: 何を誇りとして語り、何を語らないか自体がアセスメント情報になる。空欄を無理に埋めない。
複数回に分ける設計
アセスメントは一回の面接で完成させるものではない。複数回で完成させる前提で各回を設計する方が、質も関係も守られる。
| 回 | ねらいの例 |
|---|---|
| 1回目 | 主訴・緊急性・基本情報。「また会ってもいい」と思ってもらう |
| 2回目 | 生活の全体像(一日の流れ・週間の流れ)、本人の意向の掘り下げ |
| 3回目以降 | 生活歴・家族関係など侵襲性の高い領域。関係機関からの情報との突き合わせ |
- 疲労しやすい人(精神障害・高次脳機能障害等)は1回を短くし回数を増やす(→障害特性に応じた面接の配慮)。
- 毎回の終結で「次回は◯◯についてお聞きしたい」と予告しておくと、本人に心の準備ができ、侵襲性が下がる。
- 本人以外の情報源(家族・支援者・関係機関)からの情報収集も併用するが、本人の同意と、本人から聴くことの優先を原則にする。
様式への落とし込み
- 面接中はアセスメント様式を上から埋めない。会話の流れで聴き、面接後に様式へ整理するのが基本。面接中のメモは事実(日付・固有名詞)の最小限にとどめる(→傾聴の技法)。
- 様式に転記する際、空欄は「未聴取」として残してよい。無理に埋めた推測は誤情報として一人歩きする。次回面接の課題として管理する。
- 本人の言葉はかぎかっこで様式に残す。要約された意向より、原文に近い言葉の方が計画作成時に立ち返れる(→記録の書き方)。
- 情報(事実)と見立て(解釈)を様式上も区別して書く。見立てには根拠となる事実を添える。
様式を埋める面接にしない
様式の項目を上から順に質問すると尋問になり、ラポールを壊す。様式は「面接の台本」ではなく「面接後の整理棚」。面接前に様式を見て「今日はどの棚を埋めたいか」の狙いだけ持ち、面接中は会話に集中する。
相談支援での活用
- サービス等利用計画の作成: アセスメント面接の質は計画の個別性に直結する。「本人の希望する生活」欄が定型文になるのは、面接で生活の具体像まで聴けていないサインである。
- モニタリングへの接続: アセスメントで残した「未聴取」項目や気になる点は、モニタリング面接の観察ポイントとして引き継ぐ(→モニタリング)。
- 多職種との共有: 整理された様式はサービス担当者会議の共通土台になる。事実と見立てが区別された記載は、他機関にとっても使いやすい。
相談支援専門員の視点
- 計画相談の実務では、支給決定のスケジュールから逆算してアセスメントを急がされる場面がある。急ぐ場合も初回に全部聴く設計にせず、計画作成に最低限必要な情報と、継続して深める情報を切り分ける。
- アセスメントは一方向の情報収集ではなく、本人にとっては「自分の生活を語り直す」経験になりうる。よい面接は、それ自体が本人の自己理解と意向形成を助ける支援になる。
- 面接の組み立ては経験則に頼りがちだが、事業所内で「初回で聴くこと・聴かないこと」の共通認識を作っておくと、新任者の面接の質が安定する。